浦島坂田船

LIVE REPORT

うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラの4人からなるボーカルユニット・浦島坂田船が、2022年2月から4月にかけて全国19か所21公演に及ぶ全国ツアー『浦島坂田船 Spring Tour 2022 ~令和浪漫~』を開催。ここでは、4月9日に行われた神奈川県・ぴあアリーナMM公演の模様をお伝えする。

浦島坂田船

立ち並ぶレトロな洋館に、賑やかなのぼり旗。古きよき浅草の歓楽街、そこに構える劇場を思わせるステージセットからして、“令和浪漫”ムードたっぷりだ。

オープニングムービーがあけると、ステージに4人の姿が。1曲目は、3月1日より配信開始した、和情緒とジャージーなテイストが融合する和洋折衷な「燦然賛歌」だ。MVそのまま、きらびやかな和装 で、しなやかに舞いながら歌声を響かせていく4人。長引くコロナ禍でライブやイベントを行えない時期もあったが、やはり生のライブは格別だ。<何度離れ離れにされようと 消えないこの想い 繋いだ祈り><希望の火を灯せ><もう一度ここから始めよう>というフレーズ、最後に4人がぴったりと息を合わせた<さぁ!>にも、グっときてしまう。

「グッド・バイ」では、うらたぬきとセンラが、志麻ととなりの坂田。が、ぎゅっと寄って歌う場面も。4階までびっしりと埋め尽くされた客席では、メンバーカラーを灯したペンライトが華やかに揺れて、crew(浦島坂田船ファンの呼称)の高揚がにじむ。

「さあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 今日は人気役者の4人がそろった『令和浪漫』の新作公演日だよ。歌や踊り、またはしゃべりまで、男も女も魅了する最高の4人さ」と呼び込む口上師の声が、続けてメンバーを紹介。“俺様系”なうらたぬきは「俺の言うことを聞いてくれるよな」、“妖艶”の志麻は「今日1日楽しいことをしよう」、“愛嬌”のとなりの坂田。は「みんなのためにひと肌脱いじゃおうかな」、“色男”のセンラは「特別扱いしたろか」と、それぞれにキラーフレーズを口にしていく。

「誰が一番お客さんを魅了できるか勝負しようや!」とセンラが言い出すと、「上等だよ、そのケンカ買った!」と余裕たっぷりな笑みを見せるうらたぬきに、「面白いことになってきたじゃん?」とワクワクするとなりの坂田。、「おまえら、後悔すんなよ!」と挑発する志麻。ここからさらに、浦島坂田船のエンターテイメント精神が発揮されることに。

志麻

「吉原ラメント」では、それぞれのメンバーカラーの和傘をさし、メインステージ中央から伸びる花道を通ってセンターステージへ。艶っぽい歌声も、会場の隅々まで見渡しながら笑顔で手を振る姿も、より近くに感じることができる。

メインステージに戻り、「花魁俺嵐コンフュージョン」「花鳥風月」ではキレッキレなダンスも披露。ライブを重ねるごとに、歌もダンスも磨かれていく4人だ。

レーザーライトが派手に飛び交った「オルターエゴ」は志麻とセンラの、ファイヤーボールが豪快に噴き上がった「爆笑」はうらたぬきととなりの坂田。のユニット曲。それぞれの“相棒感”が、たまらない。

暗転後、「ヤバいことが起きてしまった。この近くで疫病が流行ってるらしくて、蔓延させへんために公演がなくなるかもしれんらしい」とセンラが告げ、志麻と一緒に思案しあぐねていると、「でも、やりようはいくらでもある」と言い、となりの坂田。を誘って舞台袖へと消えたうらたぬき。戻ってきたうらたぬきととなりの坂田。の手には、刀が。「力を合わせるのさ。俺たち4人、そしてここにいるみんなと力を合わせれば、きっとどんな波も乗り越えられる。俺はそう信じてる」と言ううらたぬきに、「俺も」と続く3人。コロナ禍でも屈することなく自分たちの歌声や想いを届けてきた彼らだからこそ、「切り拓いていこうぜ!」という力強い言葉にも説得力がある。

浦島坂田船

ダンサーも交え、ダイナミックな殺陣を見事繰り広げた「誠-Live for Justice-」。志麻とセンラの“歌ってみた”とはまた違った趣で、4人で歌い、ステージ左右だけでなく階段も使って魅せた「極楽浄土」。目まぐるしくたたみかける彼らには、“crewを絶対に楽しませよう”という信念があるのだろう。

浦島坂田船

となりの坂田。

となりの坂田。「みんなでひとつになれたような気がするよ。先のことはわからないし、見えない未来は怖いけど……」
志麻「この先どんなにつらいことがあっても、今日のことやこれまでの思い出、それに楽しい未来は俺たちがつくる」
センラ「その通り。俺らいつも、みんなに居場所をもらってる。だから、これからは俺らがみんなの居場所になれるようなグループになろう」
うらたぬき「俺たちがいつだって手を鳴らす。その音を信じて、みんなについてきてほしい。俺たちはずっとそばにいるから」

言葉と想いをつないで、決意を新たにした4人。「燦然賛歌」と同じく3月1日より配信開始した「貴方と云ふ花」は、歌でダンスで芯の強さを感じさせるナンバーであり、ライブでよりいっそう輝きが増す曲である。

うらたぬき、志麻

浦島坂田船のライブ恒例、とんでも企画!?に挑む幕間映像を上映したのち、カジュアルな衣装にお召し替えして、ユニット曲&ソロ曲へ。となりの坂田。とセンラによる「ベビーデーズ」、うらたぬきとセンラによる「アニマル」、うらたぬきと志麻による「Burn it down」、志麻ととなりの坂田。による「二息歩行(Reloaded)」と、シャッフルのユニット曲では、肩を組んだり、向き合ったり、すれ違いざまにタッチをしたり。いっぽう、となりの坂田。の「チェック・ナイト」、志麻の「レーヴ」、センラの「パンペルデュ」、うらたぬきの「恋のMAGIC」と、ソロ曲では思う存分個性を爆発させた4人。個々の表現欲と表現力、それらの組み合わせによって生まれる色鮮やかな化学反応は、目にも耳にも刺激的だ。

センラ

うらたぬき

いつまでも聞いていたい和やかトークをはさみ、「シンデレラステップ」では、再びセンターステージへと向かいながら、歌詞に合わせてコミカルな仕草をしたり、カメラ目線でファンサをしたり。“横浜、好きなんだよね”と歌詞をアレンジして、楽しく歌をかけ合った「マジカル・ショコラティエ」。crewの巻き起こすペンライトウェーブに4人が感動した「生涯ライバル」。メインステージに戻り、途端にオラオラなドSモードでドキドキさせた「ワナビークインビー」。うらたぬきが「心の中で俺たちの名前を叫んで!」と呼びかけて、<同じ阿呆なら踊らにゃ損損>と、阿波踊りのごとくポジティブマインドを貫いた「アワ・ダンサー」。楽しい時間は、あっという間に過ぎていく。

浦島坂田船

「浦島坂田船としては来年が10周年、もっともっとみなさんに楽しんでもらえるようなグループになりたいと思います」

そう誓った、うらたぬき。志麻も、となりの坂田。も、センラも、気持ちはひとつだ。本編ラストは、「realizer」。4人の真っ直ぐな歌声、crewがありったけの想いを込めた大きなクラップと揺らすペンライトの光。そこには、これ以上ない多幸感があった。

浦島坂田船

ツアーTシャツに着替え、それぞれのメンバーカラーのリボンを頭につけて4人が登場したアンコールは、「Peacock Epoch」でスタート。うらたぬきの<俺にするよな>、センラの<俺にしとき>、となりの坂田。の<僕にしてよ>、志麻の<俺にしろ>は、やっぱり生で浴びたい。つくづく、そう思う。

4人の止まらない仲良しトークや記念写真撮影を経て、最後に届けてくれたのは「花や、花」。2年前、中止せざるを得なかった『浦島坂田船 Spring Tour 2020 ―花(HANA)―』のメインテーマ曲だ。センターステージで、隣り合って歌ううらたぬきととなりの坂田。、センラにものすごい勢いで抱きつく志麻。浦島坂田船の4人にとっても、crewにとっても、ライブはかけがえのない居場所だ。ツアーの成功を確信するとともに、10周年に向けてますます期待感が膨らんだ一夜でもある。たくさんのcrewを乗せて、浦島坂田船の胸躍る航海はまだまだ続く。


テキスト:杉江優花
撮影:小松陽祐(ODD JOB)、加藤千絵(CAPS)

浦島坂田船 Spring Tour 2022 ~令和浪漫~
2022年4月9日 ぴあアリーナMM セットリスト

1. 燦然賛歌(浦島坂田船)
2. グッド・バイ(浦島坂田船)
3. 吉原ラメント(浦島坂田船)
4. 花魁俺嵐コンフュージョン(浦島坂田船)
5. 花鳥風月(浦島坂田船)
6. オルターエゴ(志麻、センラ)
7. 爆笑(うらたぬき、となりの坂田。)
8. 誠-Live for Justice-(浦島坂田船)
9. 極楽浄土(浦島坂田船)
10. 貴方と云ふ花(浦島坂田船)
11. ベビーデーズ(となりの坂田。、センラ)
12. アニマル(うらたぬき、センラ)
13. チェック・ナイト(となりの坂田。)
14. Burn it down(うらたぬき、志麻)
15. レーヴ(志麻)
16. パンペルデュ(センラ)
17. 二息歩行(Reloaded) (志麻、となりの坂田。)
18. 恋のMAGIC(うらたぬき)
19. シンデレラステップ(浦島坂田船)
20. マジカル・ショコラティエ(浦島坂田船)
21. 生涯ライバル(浦島坂田船)
22. ワナビークインビ―(浦島坂田船)
23. アワ・ダンサー(浦島坂田船)
24. realizer(浦島坂田船)

【ENCORE】
25. Peacock Epoch(浦島坂田船)
26.花や、花(浦島坂田船)